金剛三昧院の多宝塔


■高野山

高野山を訪ねました。
816年に空海が開いた修行の場は、今では120近い塔頭が建ち並び、 標高800mにある天空の宗教都市とも云われています。
高野山にはたくさんの塔が建っていますが、日頃目にする 三重塔や五重塔ではなく多宝塔という独特の形態をしています。これは一層目は 正方形、二層目は円形の平面上に単層の屋根が乗るという日本独自の形態で、 空海が初めて創り上げたと云われています。
高野山の中心壇上伽藍にある朱塗りの巨大な塔「根本大塔」は、空海が発願し空海の 死後に完成した日本最初の多宝塔でしたが、何度も焼失し、現在の塔は1937年に完成した コンクリート造の建物です。

■金剛三昧院の多宝塔

高野山の塔頭の一つ金剛三昧院には、1223年に北条政子が源頼朝と実朝を弔うために 造らせた多宝塔が建っています。
非常に繊細な建物で、ディテールも細やか、緻密に作られていて、同じ 高野山壇上伽藍にある西塔と比べると、その優しい表情がよくわかる建物です。
この多宝塔を見ると、奈良興福寺の三重塔を思ってしまいます。 1143年に造られ、1180年に消失、その後直ぐ再建された三重塔は、 崇徳天皇の中宮皇嘉門院が造ったと伝えられていますが、 近くにある五重塔と比べると非常に繊細で鎌倉期の特徴をよく表しています。
どうも女性が発願すると、このような優しい表情になるようです。





■金剛三昧院の多宝塔



=MEMO=

写真左は金剛三昧院の多宝塔
写真中央は壇上伽藍にある根本大塔
写真右は壇上伽藍の西塔




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