慈光院の庭





慈光院の庭





2013年4月、大和郡山市の慈光院を訪ねました
ここに来ると、日本建築における建物と庭園との最も優れた関係性を 見ることができます
通常、日本建築では床の間が一番重要で、そこに 美術品を飾ることで主の財力やひいては品格までをも 示そうとしますが、ここでは床の間はあくまでも脇役で、 最大の注意は庭との関係性に注がれています
いわゆる借景庭園で、右は椿の大刈り込みと白砂、 左は大和郡山市内が一望できるように造られていますが、 深く低い庇と縁側によって上下が切り取られ、 まるで巨大スクリーンを眺めているような錯覚に とらわれます

慈光院は1663年この地を治めていた片桐石州が、 父の菩提寺として建立した臨済宗の寺院です
石州は茶を極めた人物で、禅宗のお寺でありながら、 石庭を造らず、厳格性よりも茶の湯をたしなむ為の 風情を重要視してこの建物を造ったらしく、 四季の変化を楽しむことに心を傾けたようです
奥に祖先を祀るための方丈がありますが、主役は 茶の湯の為の書院と二つの二畳台目の茶室で、 屋根は田舎屋風の茅葺屋根です
父片桐且元が城主であった摂津茨木城の楼門を 移築した入口に建つ門も又、 わざわざ茅葺屋根に葺き替えたもので、ここからも 片桐石州の想いが伝わってくるようです





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