飛雲閣





西本願寺・飛雲閣





2013年3月、京都西本願寺にある飛雲閣を訪れる機会がありました
西本願寺境内の滴翠園、滄浪池に面して建っている飛雲閣は なんとも奇妙な形をした三層の楼閣建築です
柿葺きされた屋根の形状は、寄せ棟、入母屋、唐破風がゴチャまぜに なって載っていますが、本来重圧感を受ける筈の入母屋や 唐破風が不思議と重力を感じさせること無く、 むしろ名前のごとく雲の上を飛んでいるような軽快感を与えています
これはなぜか。まず水平線を強調した屋根のライン、各層の屋根レベルは 全て一定で唐破風の先端でさえそのことは守られています
次に長い庇の出、そして連続して並ぶ白さが際立つ障子や、階段状に 徐々に小さくなっていく平面プラン、さらに手前滄浪池にかかる 二つの橋と黄鶴台への渡り廊下の屋根に共鳴するリズミカルな曲線、 それらが互いに影響しあって、見るものに重力を 感じさせないのかも知れません

メインの玄関はどこかと探していると、何と滄浪池が入り込んだ 床下の船着き場が玄関というから驚かされます
この船入りの間から八景の間、そして格式の高い招賢殿へと 繋がっていきます
二階に上ると三十六歌仙絵の描かれた歌仙の間がありますが、 外部の板戸にも歌仙絵が描かれています
三階は小さな物見台のような一室空間で、摘星楼となんとも 魅力的な名前がついています
実はこの建物、いつの時代に誰によって何のために造られたのかが よく解かっていません
秀吉によって造られた聚楽第の遺構との 説が一般的ですが、江戸期の建物という説もあります
この洒落満載の建物は、実は文化度の高い旦那衆たちが ここに来て歌を詠み、茶を点て、星を眺める、そんな 文化サロンの交流センターではなかったのか、 こんな遊び心満載の建物は、楼閣建築というより遊郭建築と 呼ぶにふさわしい、という私の推論は大胆過ぎるでしょうか





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