円通寺の庭





円通寺の庭





2014年9月京都洛北にある園通寺を訪ねました。
円通寺の庭園は、江戸初期に造られた後水尾天皇の幡枝離宮の一部と云われ、 借景庭園の代表例として知られています。
庭は苔を敷き詰めただけの平庭で、前方左手に 和歌山産の海石(そのほとんどは地中に埋められていて、一部のみが 顔を出している)が自然を模して配置されていますが、 この庭の醍醐味は、平庭後方に植えられた檜や杉の垂直性と生垣の水平性の 背後に比叡山の姿をくっきりと写し取ることができる点です。

借景庭園は日本が誇る代表的な庭園形式の一つですが、周辺環境の及ぼす影響が 大きいため、都市化の波が庭園を台無しにしてしまうことが 多々あります。
円通寺庭園も周辺が土地区画整理事業に指定されて以降都市化の波に さらされており、木々の隙間からは新建材で覆われた住宅群が散見される ようになってきました。
日本文化の特徴は自然と人間との一体化であり、これは個と自然とが対峙する 欧米の文化とは一線を画す明確な思想です。
都市への人口集中の中で、日本の文化遺産を今後どのように守っていけば良いのか、叡智が 試されています。





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