書写山円教寺


■書写山円教寺

風ぬるむ3月下旬のある日、姫路駅からバスとロープウエイを乗り継いで 書写山に行ってきました
書写山円教寺は966年性空上人によって開かれた密教寺院で、 何度か火災にあったものの今でも中世の面影を色濃く 残している天台宗の修験道場です
特に三之堂と呼ばれる三つの建物、大講堂、食堂、常行堂が 連続する空間は見事で、巨大木造建築物がコの字型に 取り囲んだ広場は世界のどこにも無い独特の雰囲気を醸し出しています
特に不思議なのは、この広場が日本建築の特徴である「透けの美学」を 持つことなく、むしろ中世ヨーロッパの濃密な広場の雰囲気を漂わせている ことです
巨大建築物同士が軒を接して建っている上に、中央広場の広さと 建物の大きさが絶妙なバランスで成り立っているせいかも知れません

■三之堂の建築物

この三つの建物は共に室町時代の再建ですが、それぞれに面白い特徴を 備えています
大講堂はこの寺の本堂ですが、比叡山延暦寺と同様、内々陣に 床板の無い初期の天台土間形式を残しています
食堂は総2階建て各階一室空間で、食堂の用だけでなく僧坊を兼ねていたようですが、 桁行きが15間もある長方形の姿は圧倒的で、開口部の蔀戸と2階部分の高欄が リズミカルな調和を見せ、むしろ近代建築のようなすっきりした印象を与えています
常行堂は僧侶が唱和しながらひたすら阿弥陀仏の周りを回る常行三昧の為の道場として 造られたものですが、中央広場に面して舞台が設けられています
これは大講堂釈迦三尊像に舞楽を奉納するために造られたものですが、 広場のどの位置からも望むことができる舞台での演目を想像するだけで愉快になります




■書写山円教寺









=MEMO=

写真上段左は広場正面からの眺め、左に常行堂、正面に食堂、右が大講堂、 上段中央は常行堂側から広場を眺めたもの、左が食堂、右が大講堂、上段右は 食堂の詳細です
写真下段は大講堂正面と内部の詳細です



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