ビービー・カ・マクガバー


■アウランガーバード

2015年12月インドデカン高原の町アウランガーバード郊外にある ビービー・カ・マクガバーを見てきました。
この建物は、インド・ムガール帝国の第6代皇帝アウラングゼーブの 妃ディルラース・バーヌー・ベーグムの墓として1678年に息子アーザム・シャーが 完成させたものです。
一見するとアーグラのタージ・マハル廟の様にも見えますが、まったく別物です。
タージ・マハル廟はムガール帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが妃 ムムターズ・マハルの墓廟として造ったもので、総大理石造りの豪華な建物ですが、 この廟は規模が一回り小さく、材料も基壇部分とドーム屋根のみが大理石で、 その他は全て漆喰で仕上げられています。
孫の時代になると既に帝国の力は衰え、そこまでお金をかけることは できなかったようです。

■ビービー・カ・マクガバー

そのため 「貧乏人のタージ・マハル」と悪口を言われますが、それでも街中の喧騒とゴミの山、 そして砂埃から区切られたこの一角はまるで別世界のように静寂に包まれていて、 デカン高原の真っ青な空の下、白亜の建物は見る者に感動を覚えさせてくれます。
白漆喰で化粧された楼門を入ると真直ぐに伸びた水路の向うに、四本のミナレット(尖塔)に 囲まれたシンボリックな白亜の建物が眼に飛び込んできます。
水路の左右は庭園になっていて、274m×457mという広大な敷地は塀で囲われており、 はるか彼方にはデカン高原の大地を望むことができます。
インドイスラム建築の特徴を良く備えた建物ですが、向かって左側にはモスクも併設されていて、 シンメトリーを崩しているのがご愛嬌です。
内部の床は大理石が敷き詰められていますが、天井はムカルナスと呼ばれる 鍾乳石模様の白漆喰で飾られています。





■ビービー・カ・マクガバー







=MEMO=

写真一段目は廟の正面外観、訪れた12月は乾季のため 中央を走る水路に水は流れていなかった
写真二段目は廟の内部、床以外は漆喰で装飾が 施されている
写真三段目は楼門の概観、内部の天井もムカルナスで 装飾されている




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