ローマから東に30キロ、チボリ郊外に皇帝ハドリアヌスの造った別荘跡が残っています。 5月初め、ローマに着いた翌日早速この別荘ヴィッラ・アドリアーナを見てきました。 ローマ皇帝ハドリアヌスは西暦121年から133年にかけて彼が旅の途中に見てきた理想郷をこの地で 実現させようと心血を注ぎます。 縦横1キロ以上にわたる広大な敷地にギリシャ神殿やエジプトの泉、図書館、劇場や温泉施設が 彼の理想の姿で造られました。 彼の死後、蛮族の侵入やローマ帝国の滅亡でこの別荘群は荒廃してしまいますが、それでも この別荘跡を訪れると権力者の夢の跡、人間の叡智や愚かさに気づかされます
■皇帝ハドリアヌス
ローマ帝国は個性的な皇帝を輩出していますが、中でもこの14代皇帝ハドリアヌスの 生涯は興味深いものです。 13代皇帝トラヤヌスの時代, 帝国は最も勢力範囲を拡げますが、ハドリアヌスは首都ローマにいるより 勢力地の視察旅行に多くの時間を費やします。 そこで得た結論とは、このままでは帝国は滅びるという確信であり、彼は勢力地の縮小を断行します。 しかし首都でぬくぬくと暮らす貴族たちにその危機感は理解できません。 結局彼は皇帝の地位を剥奪されますが、その後も旅行中に自分で見てきた建築物をもとに 夢の理想郷を造り続けたのです。
■ヴィッラ・アドリアーナ
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